〜初心者向けの基礎ガイド〜

アパート経営を始める際、法務や税務の基本を押さえることは、収益を守りトラブルを避けるために重要です。

本記事では、初心者の方でも理解しやすいように解説します。

アパート経営に関わる主な法律

アパート経営では、以下の法律に注意が必要です。

① 賃貸借契約に関する法律

借地借家法

→ 賃借人を保護するための法律。契約期間や解約に関する規定が定められています。

  • 普通借家契約最低2年以上の契約期間が必要。契約満了時に更新可能。
  • 定期借家契約契約終了後の更新がない(事前に双方の合意が必要)。

② 建物に関する法律

建築基準法

→ 建物の構造、安全基準、耐震性などに関する法律。増築やリフォームを行う際に遵守が必要です。

消防法

→ 火災対策のための設備(消火器、火災報知器など)の設置が義務付けられています。

③ 税務に関する法律

所得税法・法人税法

→ 不動産収入に関する課税が適用されます(詳細は次項で解説)。

税金の種類と計算方法

アパート経営にかかる主な税金は次の通りです。

① 所得税(個人の場合)

収入 – 経費 = 不動産所得

この所得に応じて、所得税が課されます。

例:
月々の家賃収入が40万円、年間経費が200万円の場合
40万円 × 12ヶ月 = 480万円(年間収入)
480万円200万円 = 280万円(不動産所得)

→ この280万円に基づいて税率が適用されます。

② 固定資産税・都市計画税

毎年1月1日時点で土地や建物を所有している場合に課される税金。

  • 固定資産税評価額の約1.4%
  • 都市計画税評価額の約0.3%

③ 消費税

賃貸住宅の家賃は非課税ですが、駐車場や店舗部分の賃料は課税対象となります。

④ 登録免許税

所有権移転や抵当権設定の際に課税されます。

固定資産評価額 × 税率で計算されます。

節税の基本ポイント

① 減価償却を活用する

建物部分の購入費用を数年に分けて経費計上できます。

例:
築20年の木造アパート(建物価格600万円)の場合

公式残存耐用年数 = (法定耐用年数 – 経過年数) + 経過年数 × 20%

・法定耐用年数:22年
・経過年数:20年

計算

• 残存耐用年数 = (22年 – 20年) + 20年 × 0.2
= 2年 + 4年 = 6年

したがって、残存耐用年数は6年になります。

減価償却費の計算

計算式(定額法の場合)減価償却費 = (取得価額 – 残存価額)÷ 残存耐用年数

通常、残存価額は取得価額の10%です。
建物価格:600万円
残存価額:600万円 × 10% = 60万円
償却可能額:600万円 – 60万円 = 540万円
年間減価償却費:540万円 ÷ 6年 = 90万円

計算結果

残存耐用年数:6年
年間減価償却費:90万円


② 経費として計上できる項目を確認

以下の費用は経費として計上可能です。

  • 修繕費
  • 管理費
  • ローンの利息分
  • 火災保険料

③ 青色申告を利用する

青色申告を行うことで、最大65万円の控除が可能です。また、損益通算も活用できます。

契約書や重要事項説明の確認ポイント

契約書や説明書を適切に管理することでトラブルを未然に防ぐことができます。

① 賃貸借契約書

  • 契約期間普通借家契約か定期借家契約かを確認。
  • 賃料改定の条件増額・減額の条件を明記する。

② 重要事項説明書

  • 物件情報土地・建物の概要、設備状況など。
  • リスク情報災害区域や建物の耐震性についても確認。

トラブル防止のための注意点

① 入居者トラブル

  • 入居審査を厳密に行い、家賃滞納のリスクを減らす。
  • 管理会社を利用して対応をプロに任せる。

② 法的トラブル

  • 賃借人が契約違反をした場合でも、法的に退去させるには裁判が必要です。
  • 弁護士や管理会社との連携が重要。

豆知識:空室リスクへの対応策

空室が続くと収益が低下しますが、以下の対策が有効です。

  • 初期費用の分割や家賃設定を柔軟に行い、入居者の負担を軽減する。
  • リノベーションや家具付き物件にすることで競争力を向上。
  • オンライン募集サイトを活用して広く入居者を募集する。

まとめ

アパート経営を成功させるには、法律や税金の基本を理解し、節税対策を講じることが欠かせません。

トラブルを防ぐためには契約書や管理方法にも注意を払いましょう。

最初は専門家の力を借りることで、安心してスタートできます。